私たち3人は仲良しでした。
歳は同じくらいだと思うのですが正確には分かりません、ここにいる子はみんなそうではないでしょうか。
長い廊下とたくさんの障子とたくさんの女の子、そういうところです。
ある日障子を開けると彼女が一人で座っていて、「聞いたのね」と言いました。
あんなに仲の良かった私たち、それなのにぎんちゃんは死んでしまったのです。
「相手の男の人は、苦しむ顔を見るのが辛いと、後ろからぎんの背中を刺したの」
彼女は静かに笑顔で言いました。
この時代はたくさん人が死んでいて、死地に送られる人もたくさんいて、ぎんちゃんの想い人にもついにそれが来たのです。
私たちは決して幸せな子供ではなかったし、この場所でもいつだって、苦しいことを数えようとすれば両手の指では足りません。
逃げるのでもなく見ないふりをするのでもなく、私たちは笑えることを笑って楽しめることを楽しんで、ただ生きてきました。
その私たちに、どうして更にこんなことが起こるのでしょう?
そう言いたくて、泣きたくて、でもどちらもできませんでした。
私はきっと上手に微笑んで、昨日までは彼女たちの部屋だった、彼女の部屋を出ました。
もう少ししたら、ここは誰の部屋でもない場所になります。
彼女は家族の元に帰ることになっていて、それは彼女がもう助からない体になっているからだと、私は知っていました。
あの部屋にはまだ血が残っているそうです。
空は人間のすることなんかには少しも頓着しないで、今日もきれいに晴れていて、それが嬉しいことなのか悲しいことなのか私には分かりませんでした。